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了解してオフィスを退出すると、そこでハラウィ大尉が待っていた。
「曹長、ちょっといいかな」
「はい」
連れられて別棟のオフィスにやってきた。そこには一人の男が立っていて、微笑を浮かべていた。
「やあ曹長久し振りだな。実は君が欲しくてやってきた、少し任地は遠いが一緒に来てもらえないだろうか」
数年越しに顔を見た曹長は、中将の言葉の真の意味を理解した。あの人なりの配慮だったのを。
「大尉、どこへでもお供致します」
――この人は俺を必要としてくれている。俺もこの人の役にたちたい!
「それは有り難い、助かるよ曹長。出来たらあの三人にも聞いてみてもらいたいが」
「行きます。自分達は必ずお役にたってみせます」
「うむ。サウジアラビア王室近衛隊島中佐だ、任地はホンジュラス、期間は未定、待遇の詳細は書類に纏める。何か質問は」
「ありません」
「結構だ」
――二度目は無い、次は無いと思っていた。もう居場所を間違えることはしない!
その日からプレトリアス一族はレバノン軍から姿を消した。
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