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動けず反応しない僕に、甘く耳元で響く先生の声色が脳天を貫く。速度を増す鼓動と共に体温が上昇するような感覚に小さく震える。
「せ、先生?はっ、離してください。」
震える声を絞りだし俯きがちに呟くと、思いとは裏腹に腕の力が強まった。
「嫌だ。源田が頷くまで、離さない。」
駄々をこねているのに何故か力強く響いた先生の声に言葉を返す暇もなく、弛んだと思った腕は僕を反転させ気がつくと壁に押しつけられていた。
「ちょ、先生、痛いって、ん?!」
打ち付けられた背中の痛みに徐に先生を見上げた瞬間に僕の目の前の景色が先生一色になっていた。
唇に触れたものが先生のそれと気がつくまでに時間がかかった。
突然降ってきたキスに思考が停止する。
「んんっ、んっ」
息継ぎなど出来るわけもなく苦しくなる呼吸に先生の胸元を叩くと薄く唇が離された。
「っは、せんせ、んんっ」
慌てて息を吸い込み止めようとするもそんな隙もないほどに素早く油断した唇の間から生暖かい感触が広がる。
「はあ、せん、せっ」
初めての感覚に慣れず苦しさが増していく。堪えきれずいつの間にかしがみついていた先生の背中を叩くとゆっくりと離された。
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