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俺には兄貴がいる。
2つ年の離れた兄貴は、勉強のできる頼れる存在だ。
でも、俺にとって兄貴は邪魔な存在。
俺の恋路を邪魔する悪魔なのだ。
「よ、弟よ。勉強は捗ってるか?」
机に向かいつつも項垂れた俺を覗きこみいつものように茶化す兄貴。
睨み目で見るとふと笑みをこぼしながら俺から離れ窓辺に立った。
「何だよ、用事あんだろ?」
窓の外を眺めてそれきり話し出さない兄貴に痺れを切らし話しかける。
そんな俺にただ切なそうな笑みを浮かべなにも言わない兄貴の目線を追う。
兄貴の見つめる窓の先には隣の家の窓があった。
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