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「な、なんだよ?」
少し後ずさりながら兄貴を見上げると徐に頭を掴まれぐしゃぐしゃにかき回された。
「なんだよ和、厚志に兄ちゃん取られて嫉妬か?可愛い奴め。」
くすくす笑いながらそう言う兄貴に溜め息しかでてこない。
(俺が嫉妬してんのは兄貴にだっつの。)
笑いながら部屋を出ていく兄貴から解放されると俺は机からもう一度向かいの窓を見つめた。
兄貴とあっくんは幼なじみだ。
兄貴の後ろについて回っていた俺は兄貴といつも一緒にいるあっくんに可愛がってもらっていた。
優しくて、どこか抜けてて、一緒いると温かくなるあっくんに惹かれていくのに時間はかからなかった。
この気持ちを恋だと自覚したのは中学に入った頃。
夏の暑い日にあっくんの部屋に上がり当然のようにTシャツを脱いだ姿を見たときだった。
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