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男の瞼は、ゆっくりと閉じられた。
逝ったのだ。
安らかな死に顔だった。
その死に顔からは、その男の人生など一つも想像できはしないだろう。
死を以て、やっと、やっと安らぎを得たのか…。
私ももう直ぐ死ぬ。
この男との戦いで私も致命傷を負った。
この期に及んで、死に抗おうとは思わない。
不思議なことに心は落ち着いていた。
しかし、皮肉なものだな。
宿敵の男の死を看取り、宿敵の男の亡骸の傍で天に召されるとは…
願わくばーーー
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