女神ールナリアー

1/15
1193人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ

女神ールナリアー

NOside ――――――――― そこは見渡す限り、白一色の世界だった。 右を向いても、左を向いても、もちろん上を向いても、下を向いても、そこに白以外の色を見ることは出来ない。 その空間で一つだけ白以外の色を持った存在がいた。 さらさらとした黒髪大きくて愛らしい黒目、色白の一見少女にも見える少年だ。 その少年の名は綾波紫音(アヤナミシオン)。 これは夢なのだろうか? と紫音は思った。 最初は、床も壁も天井も、白に塗装された部屋なのかとも思ったが、どうやら部屋というには果てがなく、それは空間、もしくは世界と呼ぶ方がしっくりくる。 もし果てがあったとしても、とてつもなく強大な広さを持つ部屋であろう。 どう考えても非現実的だ。 『夢』と判断する他ない。 はて、どうしたものか。 『夢』と判断した時点で、紫音は目覚めようと試みたのだが、先程から一向に覚める気配がしない。 しかもそこには、白以外何一つない。 暇を潰すものもなく、紫音は途方に暮れ、大きな溜め息を一つついた。 「よ!待たせたね。綾波紫音」 「へ?」
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!