廊下で立ち話もなんなので、部屋に上がって貰った。
ソファに座った獣人の少女の耳は、不安そうに忙しなく動いて周囲を警戒している。
サ「どうぞ」
出来るだけ明るい声を出して、紅茶を出した。
獣「ミ、ミルク」
サ「あるよ。はい」
ミルクを要求出来る程には、警戒を解いてくれたらしい。
キッチンに引き返し、ミルクを取ってきて獣人の少女に渡す。
沈黙が続いて、少し気まずい。
獣「その、今日はありがとう…」
いつまで無言の時間が続くのかと思っていれば、ストレートティーをミルクティーにしながら、獣人の少女が切り出してきた。
サ「どういたしまして。
でも、僕、ちょっと暴れちゃったし、大事にしてごめんね?」
それがお礼の言葉だと気付き、慌てて返事を返した。
シオンがこの場にいたなら「ちょっとじゃねえだろ!」とつっこみが入るだろう。
獣「そんなに気にしてないし!
それより、弱そうだと思ったのに意外に強かったから驚いたよ」
サ「………」
なんか今心にグサッと来た。
サ「それにしても、わざわざ礼を言うために来たの?律儀だね」
こういう時は、話題を変えるに限る。
獣「別に律儀とかじゃないし。我が家の家訓が“受けた恩は必ず返す”というものだから……あの後、ダークがみんなに囲まれたかと思えば、ノワールたちに連れて行かれて礼を言う暇なかったから…」
目を逸らして恥ずかしそうに言い訳をする獣人の少女を見て、やはり律儀だと思った。
獣「か、勘違いしないでね!私もこれで恩が返せたとか思ってないし!何かして欲しい事ないか聞きに来たんだから!」
突然立ち上がったと思ったら、顔を真っ赤にして言った。
尻尾が左右に動いている。
何、この可愛い生き物。
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