喜"怒"哀楽

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薄汚れた土壁は役割を放棄する。 怒鳴り声。酒がねえ! と聞こえた次には、力任せに扉を開閉する音と、錆びた階段を一歩一歩踏み抜くかの様な音が響いた。 最悪の目覚めを提供され苛立つ。時刻は七時になろうかという頃合い。 隣の家庭は生活保護者。中年の旦那は、絵に描いた様なアルコール依存性で、その妻は頭が沸いた女。男は酒を昼夜問わず浴び、女は病院と役所が大好きな豚共。救い様もない。 だが、我が家はどうだ? 母は水商売、父は不在だが、代わりに股関ばかりが若い義父と自称する猿が、だいたい季節毎に訪れる。息子は半ば不登校、補導歴も有り。いよいよ救い様がない。
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