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大体多数の人間は腫れ物を触る様に扱うこの場所の居心地は悪い。が、中には歩み寄って来る者もいる。それは、クラスの中でも浮いた存在で、髪は脱色し、耳は勿論、口や鼻にまでピアスを開けた所謂素行不良な人間。
「秋森、久しぶりじゃん」
欠陥品の様な顔が口元を歪めながら喋ることで更に醜く映る。返す言葉等ない。シカトだ。
「相変わらずツレねえな」
そう言って、俺の元から去っていく。奴から言わせると、俺はダチらしい。友達、アホらしい。ろくに会話もせず、学校に来なかった間を特に心配する訳でもない。只、学校というコミュニティの中で立場が一緒なだけ。それだけで、ダチになるそうだ。まだ、群れと言った方がしっくり来る気がする。
苛つきが増す。何がダチだ。つい二月程前まで奴らのダチだった一人は、くだらない理由で疎外され、今では転校してしまった。
チョーシに乗っている。それが理由なのだそうだ。何がダチか、そんなうわべと建前だけの関係に、俺を混ぜてくれるな。吐き気がする。
「おい」
そう言い、ゆっくり立ち上がる。あ? と、間の抜けた声と一緒に奴が振り返った時に、思いっきり殴ってやった。
「てめぇ何すんだよ!」
吠える。耳障りだ。こいつの声も、周りの喧騒も。
「お前の顔を殴りに来ただけだ」
そう言い、もう一度殴ると呆気なく失神した。それを確認すると、俺はさっさと帰路についた。
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