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「よかったな、お前のダチはお前の為にダチを見捨てて逃げていったぞ」
そう声を掛けるも帰ってくる言葉はなく、代わりに馬鹿の嗚咽のみが閑静な住宅街に響く。
「まあ、お前からすれば俺もお前のダチだったか? ダチに殺されかけた今の気分はどうだよ?」
また声は帰って来ない。涙と、鼻血と、吐瀉物にまみれた汚い面を靴の底で押す様に俺は蹴る。
「関わるな、俺に。解ったか?」
まるで命乞いをするかの様に、俺に向かって何度も首を縦に振る馬鹿を、もう一度蹴りつけると、俺は家とは逆の方向に向かって歩きだした。
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