喜"怒"哀楽

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おい、と一言去って行く奴等に声を掛ける。はい、と一言上擦った声で返事をした一人に近づいた。 「それ見せてくれよ」 そう俺が言うと、感情を隠しきれず嫌々といった様子で一人が、俺にエアガンを手渡してきた。 暫く、適当に眺め回しているふりをすると、俺はそれを顔面めがけておもいっきり振った。手に持ったそれが割れたと同時に一人倒れ、周りが怯んだ隙にまた一人を殴り、蹴りつけ、倒し、最後の一人を一度殴ると、そこで漸く俺の動きが止まる。 「な、んで?」 最後の一人は口から大量の血を出していた。蹴り倒し、うつ伏せにした所で上に跨がり、髪の毛を鷲掴みにし、頭を地面に叩きつける。 「ぐばっ」 鼻血が出ている。関係ない。もう一度叩きつける。 「ひっ!」 短い悲鳴をあげたのを確認すると、話しかけた。 「何か言いたいことはあるか?」 「……やめて、ください」 「犬の言葉を俺は理解出来ない。お前の言葉も俺にとっては同じだ」 イカれてる。全員。命が尊いと? 頼む。俺の前でそんな言葉を口にするな。解っている、屁理屈だ。だが、食われる為に育てられる家畜の気持ちを考えたことはあるか? 人や犬猫は殺せなくても、害虫ならば簡単に駆除するだろ? 尊い? 違う。 そんな倫理観を植え付けなければ、人間は人間同士ですぐに殺し合う。穢れている。怒、怒、怒。そればかりが沸き上がって吐き気を催す。それを少しでも沈めようと、俺はもう一度そいつの頭を地面に叩きつけた。
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