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「そんなの、私がっ……許さない」
そう言って母は泣き崩れた。つくづく弱い女でいる母に心底呆れ、そして同時に嫌悪すらする。こんなのが、俺の肉親か。
「誕生日、何が欲しいかって? どうせ、あんたには俺が欲しい物なんて用意出来ない。絶対。なんなら、だらだらと上っ面でも並べてやるよ。普通の家庭。普通の家族。普通の親。帰ってきたら知らない男がテレビ見ながら大口開けて笑ってる家じゃねえ。ほぼ季節毎に父を名乗る馬鹿がいる家族じゃねえ。で、股広げてそんな馬鹿を連れてくる馬鹿な親じゃねえ。用意してみろよ?」
「嫌! やめて……お願い」
半ば半狂乱になりながらか細い声で母は言う。
「別に全部が全部あんたのせいなんて言う程甘えた事は言わない。俺にだって非はある。でも、もう……うんざりだ」
そう言うと、薄着のまま俺は家を出ていった。
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