憧れを探しに

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苛々する。苛々する。視界に映る全てが敵で、視界に映る全てが酷く不愉快で、世界そのものすら邪魔だ。そして、憤っている時程、自分が人間らしく感じられる事もまた…… もう、どうでも良かった。何もかも。朝っぱらからコンビニの前で屯する土方の連中。煙草を加えて大声で話し、下品に笑うそいつらに鬱憤の対象を定めた俺は、彼等に向かって、死ねと内心を吐露する。 「あ?」 当然絡まれる。正直、よく覚えていない。人通りが少ない路地裏の公園に連れて行かれ、三、四人ばかりに囲まれ、二、三殴りつけた後は、只のサンドバッグに撤する他なかった。 「餓鬼が! 殺すぞ!」 そう言われ、もう何度目か頬を殴られる。頭が熱に浮かされた様に熱く、思考も上手く定まらないが、怒りだけは未だにはっきりと感じている。 「殺せよ」 もう、どうでもいい。 腕を動かし、相手の首を絞める。殺るか、殺られるか。幾度殴られようが、決して離さない。もう周りの音すら聞こえない。痛みも感じない。やがて、意識だけが妙にはっきりと冴えたと思った瞬間、電源が切れたテレビの様にぷつんと闇に堕ちた。
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