秋森純也

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気がつけば、既に食事を終えた頃で、陽も傾き始めていた。またな、の代わりに頭を撫でる。寂しそうに鼻を鳴らしたのが、後ろ髪を引っ張るが連れてはいけない。ボロアパートはペット禁止だ。 また明日も来ようとそう決めて、俺は帰路に着いた。途中、小雨が降り始める。 傘を差しながら歩いてくる見慣れた制服姿の連中とすれ違った。 同じ中学、同級生だ。それは解る。が、名前は知らない。明日は、学校にも行くかと、なんとなくそう思った。 学校はあまり好きじゃない。勉強が嫌いな訳じゃない。 ただ、人が嫌いだ。別に学校の人間に特定した話じゃなく単純に、純粋に、人が嫌いだ。自分自身でさえ、嫌いな対象な程。嘘つきで、傲慢で、卑しくて、浅ましくて、卑怯で姑息で汚なくて。 ふと、気まぐれで其処に行こうかと思い立ち、行く度行く度辟易とし、悶々としながら後悔するはめになる。 解ってはいるが、それでもふと思い立った様に其処へ行こうと考える理由を、俺は知らない。
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