秋森純也

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それでも、ふと思う。 まだ、15年程しか生きてない人生だ。絶望するには早い。きっと、ある。理想郷なんて口にするつもりはない。 ただ、少しだけでも、人と人とが繋がっていると感じられる様な場所。 其処にいるだけで、落ち着けて、安らいでいられる様な、温かい場所があるんではないかと。 それが欲しい。雪の結晶が元々は塵である様に、人間であっても思い合い、繋がり合えば綺麗なものになれるのだと、僅かに抱いた希望を捨てられずに俺はいる。 自嘲する。ある訳もない。きっと夢物語なのだと。 玄関に入ると、不格好に並べられた知らない靴を見て、俺はまた現実に戻った。それを蹴ったところで、何も変わらない。 これが俺の世界だ。
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