来訪者

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  例年に比べて残雪の多い高台の一画に建つ一軒家。そこの主である篠山暁良は、二階にある自室で書類の整理をしていた。 時刻は午前十時半を回り、一服しようとソファに腰掛けた時、彼の部屋へ孫娘が訪ねてくる。 「お祖父様、お客様がいらしてますわ。」 しかし、名前を聞いても大まかな特徴を聞いても、暁良はその客人にまるで心当たりがなかった。 「今忙しいんだ。そんな時間は……いや、」 仕事柄、いつもであれば追い返している所だが、ふと思い返し、孫娘に託けて客人を応接室へと案内させるのであった。  
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