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アイツと出会ったのは放課後、運悪く、雨が降った月曜日だ。
俺は鞄を頭の上に置き、ひたすら走った
「やっべー…まじ最悪。」
走っていると大きな歩道橋があり、その下が雨宿り出来そうだと思った。
そこで雨宿りしようと足を早める。
「ふぅ~…」
下にたどり着いた途端、ため息をつき、ハンカチで制服についた雨を拭く。
ポタポタと制服から落ちた水滴は運悪く隣にいた座っている少女の頭に向かった。
「あ…」
気づいた時には遅く、少女のしなやかな黄色い髪は一部濡れてしまった。
「ごめん!大丈夫?」
「…」
コクリと頷く少女にほっとする。
この少女も雨宿りをするためにここにいるのか?
そんなことを思っていると、鼻水をすする音と少し嗚咽が聞こえた。
それも俺の隣から。
まさか…こいつ泣いてるのか?
俺は横目で隣にいる少女を見た。
的中してしまった。
少女は泣いていた。理由は分からないが声を頑張って抑えて泣いていたのだ。
「…どうかしたの?」
口をだすつもりはなかった。
でも、少女を見ていたらつい口に出してしまっていた。
少女は一瞬ビクッと肩を跳ね上げる。
そしてゆっくりと俺の顔の方に自分の顔を向け
「…雨はきらい?…」
と聞いてきた。涙目で“嫌いにならないで”とでも言うかのような目でこちらを見てきた。
「…嫌いじゃないよ」
そういうしかなかった。それ以外に選択肢があったのだろうか。もし目の前で涙を流している少女に同情もなく“嫌い”という奴がいたらそれは人ではない何かだ。
俺の言葉に安心したの少女はふにゃりと顔を歪ます。
楽しそうに…嬉しそうに…。
少女の涙は自然と止まり、さっきまで土砂降りだった雨が何を思ったか急にやんだ。
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