プロローグ

2/3
前へ
/205ページ
次へ
既に暗くなった世界は月明かりで青白く照らされ、冬の訪れを静かに告げている。 夜空に広がる幾億の星が、信じられないほど美しく黒に彩りを見せていた。 はぁ、と溜息を大きく吐き出したユズは足を前に放り出し、後ろに手をついて夜空を見上げた。 芝生の湿った感触が少々気持ち悪いが、そんなこと、別に構わない。 ここ数ヶ月で経験したことを頭の中で整理し、大雑把な計画を立てる。 決めたところで実行できないのが自分、そんなことは百も承知。 そして、この世界において計画などいかに意味を成さないかを、ユズはよく知っている。 今日は眠くならない、と独り言をこぼしてオリオン座を探す。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加