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まだ薄暗さの残る早朝、広場には背が高く、整った顔つきの女性がいた。
年は二十代の前半だろうか、細い線の中に描かれる膨らみとくびれは、彼女を大層グラマラスに見せていた。
黒いカーゴパンツに黒いパーカーを着たその女性は、腰の位置にホルスターで拳銃を一挺、背中にはガンベルトで短機関銃を吊っている。
また左太腿にベルトで締められたナイフは刃渡りが長い。
首に下げているプレートには、『エージェント・ユズ』と書かれている。
ユズは広場の芝生をブーツで渡り、リュックから取り出したスマートフォンで場所を確認する。
「この辺りの、はず」
そう呟き、辺りを見渡す。
クライアントとの待ち合わせ時間まであと5分。
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