序章 天駆龍ノ神ノ凶兆

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********* 「御国に仇成す悪漢め!!最早これまでだ!!観念しろ!!」 桜の花弁舞散る夜の帝都、そのやや外れにありし神社の門前にて、一人の男を追い詰めるのは、紺色の軍服に軍帽、腰にはサーベルを下げた軍隊とも警察とも見える一団であった。 「私は『天照特別警察』隊長の砂原涼華だ!!お前が国家転覆の奸計を巡らせているのは知れている!!」 桜に軍刀を象った印を掲げながら、声を上げるはまだ歳十四ばかりの娘であり、夜風に靡く程の長さがある黒髪を後ろで一つに束ね、凛とした態度が目を引く美人である。 その一団唯一の女子である故か、ズボンの代わりに紺のスカートを身に付けた姿である。 「…今の政府は腐っている。国民の権利を声高に主張せねば、やがては権力者に蔑ろにされるだろう。」 男は西洋スーツ姿の紳士と言った出で立ちの歳三十半ば程である。 男の目には闘志の炎が燃え、声色強く一団…『天照特別警備』に言い放ち、睨み付ける。 その目正義感に満ち溢れ、真の信念を感じられるものであった。
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