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私は目を覚ますと、自然豊かな森の開けた場所に居ました。
「……何処、ここ…?」
そう呟いた時、急に頭が痛くなる。
頭痛が治まると、さっきまでふわふわとしていた頭が冴えてきた。
私は海鈴を助けようとして、一緒に屋上から落ちちゃったんだっけ…。
「…じゃあここは天国?」
「違います。ここは生と死の狭間です」
「うわっ!!」
誰もいないと思っていたら急に後ろから声を掛けられるので驚き、体が跳ねた。
ゆっくり振り向くと、そこには地に着く程長いブロンドの髪を背にながし、真っ白な丈の長いワンピースを着たモデル体型の綺麗な女性がいた。
「…綺麗……」
私は同性なのに見惚れてしまい、思ったことを口に出していた。
気付いた時には遅く、女性は一瞬キョトンとした表情をしたが直ぐに表情を戻して微笑む。
「ありがとうございます。素直な方ですね。」
私は恥ずかしくなり顔を赤らめて俯く。
女性からはクスクスと笑い声が聞こえた。
赤くなりながらも視線を戻し、私は疑問に思っていることを聞こうとした。
「あのっ……、貴女は誰ですか?それに、ここが生と死の狭間ってどういうことなんですか?」
私は聞きたいことが山程あり、焦り過ぎて全部ぶつけてしまいそうになったが、女性が私の唇に触れるか触れないか位の距離で人差し指を立てて止める。
「落ち着いて。千尋さんの質問に教えられることは全てお応えします」
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