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名乗ってもいないのに名前を呼ばれまた分からないことが増えた。
「どうして名前を……」
「それにもお応えします。こちらにどうぞ」
促されるままに歩を進めると、先程まで無かったテーブルと椅子があり、テーブルの上にはティーセットがあった。
私が椅子に座ると、目の前に紅茶が入ったカップが置かれる。
向かいには女性が座り、女性の前にもカップが置かれていた。
「話が長くなるかもしれません。よろしければお飲み下さい」
「えっと……頂きます」
少し戸惑いながら口を付けると飲んだことが無い味が口の中に広がる。
けれど、とても懐かしいような味がして落ち着いた。
『私、知らないのにこの味を知ってる……?』
「お味の方は如何ですか?」
「はい、とても美味しいです。なんの茶葉を使っているんですか?」
不思議な感じがして心の中で自問をしていたら、声を掛けられたので自分がさっき思っていたことを忘れてしまった。
「これは千尋さんの居た世界には無いものなの」
私は言われたことに理解できず、頭の中で繰り返す。
『私が居た世界に無い…?』
混乱してきた頭を落ち着かせようとして、また紅茶を一口含む。
「すみません、急過ぎましたね。順番に説明しましょう。私の名はソフィア。生を司る神をしています」
ソフィアさんの言葉に私は口にして繰り返す。
「生を司る神……」
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