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ふと気がつくと、女が俺の膝に跨がっていた。
(嘘だろう。
この異常なほどの快感は……)
俺もマイクを持っていた。
女は1人で熱唱している。
(声はハスキーで、歌は震えがくるほど上手い)
突然、ドアが開いてい女性店員が入ってきた。
女は髪を振り乱し激しく動きながら、悩ましく歌っている。
『すみませんねえ。勝手にやっています。
ビールをお願いします』
俺は平静を装おって店員に声を投げ掛けた。
女性店員は、おしぼりをおいて首を傾げながら出て行こうとしたが、たちどまり二人を凝視していた。
(俺の膝に跨(また)がっているのは誰だろう?)
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