元王女様の場合

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私の前世は王女だった。 そんなことを言っても許される世界に、私は再び生まれた。 しかも過去とは違って男性として生をうけた。 衝撃的だった。 とても衝撃的だった。 だが慣れた。今やもう私は男だ。 前の世界は簡単に言うと、今の世界でいうゲームのような世界だった。 というより、製作者側に前世持ちが多くいるのだろう。明らかにあの世界をなぞっていた作品があった。 あの世界は当たり前のように魔力があって、当たり前のようにモンスターが出て、当たり前のように魔王という存在があった。 勇者様は魔王に対抗する、世界の光そのものだった。 と、大まかな記憶は殆ど覚えてはいるのである。 残念ながら、勇者様と婚姻を結べるまで後少しというところで前世の記憶は途切れてしまっているが、そのラブロマンス映画のような記憶は現在の私の言葉遣いや性格に多大なる影響を与えた。 興奮してしまうと、すぐに地がでてしまうというか…。 勇者様を見るとつい我を忘れてしまうから、困ったものだ。 まぁ、怯えを隠そうと必死なポーカーフェイスも、気持ち悪いモノを見るような目も、慣れたら癖になってしまったし。 これは今生の性質だ。 なんてことは何パーセントかは嘘である。 だけど、ここからは本当の話。 私は現在26歳のお兄さん。 仕事先は可愛いお花屋さん。 配達の途中や休憩時間を使って、ちょくちょく勇者様に会いに行ってます。
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