山田さんVS老婆の霊

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その日、老婆を見掛けた。 いや、老婆と言うには彼女の髪は以前の白髪とはかけ離れ黒くしなやかな髪、曲がっていた腰はしっかりとしておりその薄汚れた着物が無ければ老婆だとは気付かない女の霊が、マンションの一室の前に佇んでいた。 電球が切れ掛けてカチカチと点滅してその顔は分からない しかし、老婆はマンションの一番隅の部屋の前で佇んでいる。 確かあの隅の部屋は、少し派手めな水商売の女性が居たな そんな所で老婆は何を? 残念ながら私の部屋は、もっと上の階なので私は、其処を素通りするしかなかった。 ふと、老婆の顔を見てみたいと興味が脳裏を過るが疲れていたのでまたの機会にしよう そんな機会は、二度と無いが 次の日、このマンションの隅の部屋で 女性が血塗れになって死んでいるのが発見された。  
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