今日も、いつものゲー研部  1

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僕は、桜坂高等学校2年生の田辺駿。 ゲーム研究部に所属していて、充実した日々を送っている。 その俺が今何をしているかというと… ………部室で裸踊りをしている。 ―話は遡ること10分。 いつものように部室に行くと、部長がなにやら上機嫌でパソコンをいじっていた。鼻歌まで歌ってやがる。 「なんかいいことでもあったんですか、先輩?」 ニヤニヤ笑いながら聞くと、誇らしげな顔で、 「フッ 驚け なんと俺らが作ったゲームが入賞したんだ!」 ちなみにゲーム研究部といっても活動など全くやっておらず、部長と俺以外は部室に来てすらいない。(俺もたまに顔出すだけ) 「嘘つけぇ!」 そもそもいつのまに作ったんだ! 「俺も聞いた時はさすがにおかしいと思ったよ。でもなぁ昨日なんと大手会社から是非君たちの作ったゲームを製品化したいと電話があったんだよ」 ゲーム一人で作ってそんなVIP待遇あるわきゃないでしょ。はいはい嘘嘘わかってますよ。 「夢見てないで真面目に活動してください」 すると部長は怒った顔で、 「嘘じゃねぇよ?なんなら証拠見せようか」 ……証拠があるの? 「フ、フッ もしも本当だったら裸踊りしてやりますよ」 だってそれほど有り得ない事なんだもの。 「ほれ」 封筒を差し出してきた。 「なあああああああああにいいいいいいいいいい !!!??Σ(゜Д゜」 「くっくっく。約束は守れよ~?」 ……こうして文頭の展開に入るわけだ。 「……もういいですか?」 「あぁ いつまでもそんなものぶら下げてんじゃねぇ」 フ…ググ… 「部長一人で作ったんですか?そのゲーム」 時間と労力的に無理があると思う。 「いいや~?部員達にパソコンでメール送って手伝ってもらったよ」 へぇ。ちゃんと活動やってんのか。顔知らんけど。 「で、今何やってるんですか?」 「社会からあぶれたはみだし者が24時間風呂も入らずアホ丸出しで熱中する遊具を、その遊具を世にでまわす闇の組織に贈るために作っている」 言い回しが汚い… まぁつまり大手会社に送るゲーム制作か。 「そうですか。じゃ頑張ってください」 そう言って部室を出る。 「おいおいおい」 「? なんですか?」 「いやそこは手伝いましょうか?だろ」 「イヤです これから彼女とデートなので」 そう言うと、涙目になって上目遣いをしてくる。 「お願いっ」 正直キモイ。 ニッコリと笑って、 「出来たら見せてくださいね」 そう言い放って部室のドアを閉めた。
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