0人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は、桜坂高等学校2年生の田辺駿。
ゲーム研究部に所属していて、充実した日々を送っている。
その俺が今何をしているかというと…
………部室で裸踊りをしている。
―話は遡ること10分。
いつものように部室に行くと、部長がなにやら上機嫌でパソコンをいじっていた。鼻歌まで歌ってやがる。
「なんかいいことでもあったんですか、先輩?」
ニヤニヤ笑いながら聞くと、誇らしげな顔で、
「フッ 驚け なんと俺らが作ったゲームが入賞したんだ!」
ちなみにゲーム研究部といっても活動など全くやっておらず、部長と俺以外は部室に来てすらいない。(俺もたまに顔出すだけ)
「嘘つけぇ!」
そもそもいつのまに作ったんだ!
「俺も聞いた時はさすがにおかしいと思ったよ。でもなぁ昨日なんと大手会社から是非君たちの作ったゲームを製品化したいと電話があったんだよ」
ゲーム一人で作ってそんなVIP待遇あるわきゃないでしょ。はいはい嘘嘘わかってますよ。
「夢見てないで真面目に活動してください」
すると部長は怒った顔で、
「嘘じゃねぇよ?なんなら証拠見せようか」
……証拠があるの?
「フ、フッ もしも本当だったら裸踊りしてやりますよ」
だってそれほど有り得ない事なんだもの。
「ほれ」
封筒を差し出してきた。
「なあああああああああにいいいいいいいいいい !!!??Σ(゜Д゜」
「くっくっく。約束は守れよ~?」
……こうして文頭の展開に入るわけだ。
「……もういいですか?」
「あぁ いつまでもそんなものぶら下げてんじゃねぇ」
フ…ググ…
「部長一人で作ったんですか?そのゲーム」
時間と労力的に無理があると思う。
「いいや~?部員達にパソコンでメール送って手伝ってもらったよ」
へぇ。ちゃんと活動やってんのか。顔知らんけど。
「で、今何やってるんですか?」
「社会からあぶれたはみだし者が24時間風呂も入らずアホ丸出しで熱中する遊具を、その遊具を世にでまわす闇の組織に贈るために作っている」
言い回しが汚い…
まぁつまり大手会社に送るゲーム制作か。
「そうですか。じゃ頑張ってください」
そう言って部室を出る。
「おいおいおい」
「? なんですか?」
「いやそこは手伝いましょうか?だろ」
「イヤです これから彼女とデートなので」
そう言うと、涙目になって上目遣いをしてくる。
「お願いっ」
正直キモイ。
ニッコリと笑って、
「出来たら見せてくださいね」
そう言い放って部室のドアを閉めた。
最初のコメントを投稿しよう!