10回目の目撃者

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あたしは、毎日……毎日、つらかった。 なんでかな。 こんなに、幸せなのに。 「愛理、ソースついてる」 「……ありがとう」 あたしの、口元のソースを拭ってくれる、大好きな、大好きな彼。 千藤 透 「何?なんか考えてた?」 指で拭ったソースを、悪戯っ子のように、ハニカミながらペろりと舐める。 透は……優しい。 年上で25歳。 背も高くて、さらさらの黒い髪。 仕事や映画を見たりする時だけにかける、楕円の縁無しの眼鏡。 男の人らしい、少しかくばった綺麗な手。 大好き……なのに。 あたしは、今日……彼に別れを告げる。
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