3人が本棚に入れています
本棚に追加
「うぅぅぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
後ろから、流星群の如く襲い掛かる飛び道具や初級魔法を掻い潜り、俺達の逃走劇は続く
つっても、走ってるのは俺だけですがね!
魔女は俺の腕の上で「もっと早く!」とか「頑張れ!」とか喚いてる
投げてぇ…、後ろの兵士達に魔女投げてぇ…
待てよ?
俺はまだ兵士達に顔が知れてない筈
今、魔女を放り投げれば「あの後ろ姿はローゼンだろ!止まれローゼン!!」……後ろ姿でバレるとか何事?
後ろを確認すると、先頭を走る兵士に見覚えがあった
よく酒場で一緒に飲んでた飲み仲間のガランじゃねぇか!
「やっぱりローゼンか!
お前、自分がやってる事の重大性解ってんのか!?」
「聞け、ガラン!
これには色々訳があってな!」
「取り敢えず止まれローゼン!!」
「お前等がまず追いかけるの止めろぉぉぉぉぉぉ!!」
ただでさえ、スキンヘッドで厳つい顔した図体のでかい奴だけでも恐怖なのに、そいつを筆頭に大勢の兵士達に追いかけられてみろ!!
それでも奴等は止まらない
当然、俺も止まらない
くそ、これでは埒が明かん
「風よ、我を包み加護を与えよ
風属性中級補助魔法『シルフウイング』!!」
詠唱を終えると、俺の全身が風に包まれる
今の俺なら、空をも飛べる!
「え、詠唱!?
て事はギミックじゃなくて魔法!?」
腕の中の魔女が騒ぐ
良いから、大人しくしててくれ
集中が乱れる
俺は3階建ての建物の非常階段を駆け登り、屋上へと向かう
それに続くガラン達
屋上に着いた俺は迷わず、屋上から飛び降りた
そのまま飛び降りた恰好で、空を飛ぶ俺を見たガラン達は驚く
「か…風属性魔法か!
やってくれるぜ、ローゼン!!」
苦虫でも噛み潰した様な顔で悔しがるガランを後目に、俺は魔女を抱えたまま風に任せて空を流れるのだった
.
最初のコメントを投稿しよう!