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クロマ・ラデュースと呼ばれたものは一度考えた素振りを見せてフードを取った。
フードを取って一番に目につくのは灰色の肩につかない位まで伸びた髪の毛だろう。まだ幼さの残る顔立ちの少年は自身の髪の毛と同じ色をした目を先程顔をあげた魔獣に向けた
「っ!ラデュース様フードをお被り下さい!もしかすると人間が侵入しているかもしれないのですよ!」
慌てて立ち上がった魔獣は失礼しますと小声で言うとクロマにフードを被せた
魔界の規則として魔獣の上位種である魔族と魔王そしてクロマは人間に素顔を見られることを避けるため常にフードを顔の半分以上が隠れるようにしなくてはいけないのだ
「なんだよランス。 このフードは邪魔でしかないんだ。」
クロマはフードを被せた魔獣ランスに不満の眼差しを送ると魔王に呼ばれていることを思いだし、ランスの反応を見ずに先へと歩き始めた。
クロマの姿が見えなくなり魔獣たちが膝まずくのをやめ、立ち上がるが皆クロマが歩いていった方向をただ見つめていた
そして静寂の中ランスが隣にいるものにしか聞こえない声で
「ラデュース様…私の名前を覚えて下さっていた…」
と呟いたのだ。
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