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クロマが豪華な扉をノックすると中からの返事も聞かずにクロマは扉を開けて部屋の中へ入っていった。
「…入れといってから入ってこいと何時も言ってるだろ」
部屋の奥から少し低めの落ち着いた声が部屋全体に響いた。
暗くて顔は見えないが声の主は多分眉間に皺を寄せているだろう。
「細かいこと気にしてたら早死にしますよヴィル様」
クスッと笑ってクロマは真っ直ぐ歩を進めていく。
その先には金で出来た豪華な椅子がありそこには体長2メートルはありそうな巨大な黒い羽と角と尾をもつ魔王が座っていた。
魔王が座っている両隣には魔族が二人立っている。
その二人はクロマの姿を確認すると深々と礼をして半歩その場から下がった。
「その敬語と名前に様をつけるのをやめろ。 俺とお前は親子だろ?」
「まあヴィルは僕の親みたいなものだからね。他人行儀はやめとするか。」
クロマは幼い頃の記憶が無く、気付いたら魔界にいて魔王が親というものになっていた。
自分は魔族ではなく人間であるということだけは覚えており、他のことは一切思い出せない。
「親みたいじゃなくて俺がお前の親だ」
「変なことを言うね。僕は人間だよ? ヴィルは魔王なのに血が繋がってるわけない」
「………っ。 まあその事より今回は別のことを言うために呼んだのだ」
ヴィルは咳払いを一度すると真剣な顔になりクロマを見つめた。
クロマも何か悟ったのか表情を固くしてヴィルの言葉を待った。
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