1.月は青く

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この奇妙な隠れ家にいる人間は五人だ。 アイン、ヲリエ、リント、ラウル、ジャクリーン。 NOISEメンバーの半分が欠けていた。シェリル、シルト、エンは生徒会に捕まったらしい。きっとどこかへ幽閉されている。停学や退学にするのではないかとアインは思ったが、リントが否定した。この時期に退学や停学などをしたらそれ経由で内部の情報が漏れる恐れがある。しかもシェリルの父親はユニオンの評議会議員だ。その危険性はより増す。 シオは行方不明だった。監察員が連行したと、生徒会が発表していた。やはりシオ・クォールは敵だった、監察員の一人だったと生徒会は喧伝しているようだった。 NOISEのメンバーを半分失い、生徒会に対抗する力を失くしたNOISEはもう何も出来ない。この隠れ家から一歩でも出れば忽ち一網打尽にされるだろう。 この一か月の間、NOISEは足が着かない範囲で情報収集に徹した。リントとジャクリーンがパソコンの前に一日中座り、サンドハースト内部や外部から徹底的に収集していた。ヲリエは一か月の間療養に徹し、ラウルはアインと付きっ切りで看病していた。 無味な毎日だった。何も出来ないまま日々を過ごすのはもどかしかった。アインは何度も外に出ようとしたが、リントがそれを許さなかった。 状況は分かっている。だけど何もせずにいるのは耐えられない。 こうしている間にもサンドハーストは刻一刻と暴走していく。生徒会を止められる者はもういない。レイルの意思の下に、生徒会は順調に動いていく。 止めなくては。 きっとこれまで以上の騒動が起こるだろう。次はユニオンを相手に。
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