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サンドハースト、男子寮のある一室。
端末のフリップを開き、ボタンを押して、コールする。通話音が一度鳴っただけで、相手は出た。
『ハロー。』
「ども。俺です。」
ドロシー・ハプス・オーレルの声が聴こえたと同時に、月白リクはベッドに腰掛けた。
『やっほー。最近の調子はどう?』
「ぼちぼちってとこですかね。」
『律儀だよねー、りっくんは。定時連絡なんてマメな事を時間通りにやるなんてさぁ。』
「ちゃんと連絡は取っておきたいんで。」
『このマメさはモテるよー。』
ドロシーがクスクスと笑った。リクも頬を緩ませる。彼女は気丈だ。
「すいません。ドロシーさんには面倒をかけて・・。」
『平気だよ。スーくんはちゃんと時間通りに寝るからさぁ。ああ見えて早寝早起きなんだよ?夜九時にはもう寝るなんて、まるで子供だけど。』
「バレたら前云った事を云えばいいですから。危険だと思ったら止めても大丈夫です。」
『月白リクに脅されてます、って?無理無理!りっくんそんなキャラじゃないじゃん。』
リクは胸を締め付けられる心地になった。明るく、柔和に振る舞うドロシーは常に瀬戸際にいる。リクの知らない隠れ家でスヴェインと共に過ごしている。リクとの接触をスヴェインは厳禁している筈だ。
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