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部屋の作業台の上で、ハブメルは
この日、小柄なハンマーをふるっ
て作業をしていた。壊れ難い金属
のブレスレットを作る為の型だ。
これをどう作るかで完成品の形が
変わってくる。
かなり集中しないと元が不器用な
ハブメルには厳しい作業だ。
そして、かなり慎重に。
集中をはじめると2時間はそのま
まなハブメルの横でキルリも柄を
彫っていく。
そんな様子を見ていた颯人先生が
頬杖をつき、呟いた。
「すごい集中力」
「不器用な分
他の人より色々大変ですからね」
ピースがそれに苦笑して答えた。
「カッターで紙を切るのも一苦労
なんですよ…不器用者はね」
そう簡単に皆は周りは経験だと片
付けるが、実際には違うのだ。
元がノーマルならそれ位簡単なの
だ。が、不器用は違う。何もかも
が上手く行かない。
例えば定規で真っ直ぐ線を引く。
それさえも曲がるのだ。
だから要求されるのは人より倍の
集中力
と人より時間がかかって身に付け
る基礎を元に積み上げたもの。
「誰も不器用者の苦労なんて知ら
ないから言える…
周りの完成品が綺麗で何回もハブ
メルは絶望してるんですよ…
不器用なばっかりにね」
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