はじまり

4/5
前へ
/51ページ
次へ
「まぁ、それはいいとして…」 キルリがあるメモを颯人先生の前 に置いた。化学記号で書かれた物 の隣にはグラム単位で数字が記入 されていた。 「これは人体を構成する物質の正 確な数値です」 「あっ!?」 キルリの言葉に颯人先生は驚きの 声を上げた。 「貴方が望むなら、かの有名な試 験管ベイビーを応用して、貴方に 体を与える事も…可能です。 貴方が約束をしてくれるなら」 キルリの色のない瞳が颯人先生を 捕らえた。 「約束…」 「えぇ…溺れ続けると言う約束で す。約束は切れれば傾く。 傾けば物が崩れ、切った物は不幸 を知る。いわば…申[サル]の手な のです。約束とは」 申の手。願いを叶えるが、最終的 に不幸を招くオカルトでは有名な ものだ。 それを約束と近いとキルリは言っ た。 「契約は何だ」 「契約は契り。 契約裏切りは心から血を吹き出し 倒れる。これは例えるならハート のエースに針を刺すで有名な話し に似た者です」
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加