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シンと、静まり返る車内。
その浜崎の発言に最初に反応したのは、やはり幼なじみである川合。
「歩……あんた、本気で言ってんの?」
「だってよ、バスじゃこの道、通れそうにないんだろ?」
「そういう事言ってんじゃないの! この先に何があるか分からないのよ!? ここにいるほうが絶対安全だってば!」
「何言ってんだおめぇ? 分からないから確かめに行くんだろ? それに、ここが絶対安全って言い切れんのか?」
「そっ、それは……」
「人生、何事も歩いた分だけ前に進むってもんだ!」
「……それ、当たり前の事だし」
川合が額に手をついて呆れていると、
「はーいはーい! 澪も歩にさんせーっ!」
浜崎、そして川合の友人である雨宮 澪(あまみや れい)が、元気に手を挙げる。
「ち、ちょっと澪!?」
「ぼ、僕も、歩君が行くなら…………怖いけど」
次に恐る恐る手を挙げたのは、同じく友人の沖島 進(おきしま すすむ)。
「進まで……嘘でしょ?」
次々と浜崎に賛同する友人達に動揺していると、その肩に最後の友人である中澤 蛍(なかざわ けい)の手が置かれた。
「直、諦めな。歩が行くならお前も行くって事だ」
「蛍……」
「心配すんな。あたしも行くからさ」
「…………わかったわよ。行くわよ。私も行ってあげるわよっ!」
そう叫びながら川合はポニーテールを振り乱し、頭を抱えるのだった。
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