796人が本棚に入れています
本棚に追加
「いよーし、これで五人だな! 他にいねぇか? いなきゃ置いてくけど」
「待ちたまえ浜崎君、僕を差し置いて勝手に話を進めないでくれないか」
「なんだ委員長も行くか? 心配すんなって、置いてかねぇから!」
「そうではない!」
一瞬声のボリュームを上げた後、すぐに元のトーンに戻し港は話を続ける。
「僕はクラス委員だ。僕にはみんなを無事に家に送り届ける義務がある。だから、ひとりの勝手な行動は僕が許さない」
「んだよーっ。じゃあ委員長、外出許可くれ」
「歩、あんたちょっと黙りなさい」
しかし、次の港の発言で事態は展開を見せる。
「……だが、僕も浜崎君の意見に賛成だ。このままここにいても助けが来るとは思えない」
「さっすが委員長! 委員長になっただけの事はある!」
嬉しそうにバシバシと背中を叩く浜崎に、顔色ひとつ変えず港は告げる。
「浜崎君。みんなに10分だけ考える時間をくれないか? まだこの状況を受け入れきれてない者が多数だ。ちゃんとみんなに、気持ちの整理をつけさせてやりたい」
「ああ、俺もできれば全員で行きてぇしな。待つぜ!」
「運転手さんと、青山さんもそれでいいですか?」
「あ、ああ。いいとも」
「ええ」
運転手とバスガイドの青山 遥(あおやま はるか)も、首を縦に振った。
最初のコメントを投稿しよう!