闇に浮かぶ箱

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 20××年、9月28日。  あっという間ではあったが、間違いなく皆の思い出に刻まれた3泊4日の修学旅行を終えた太洋(たいよう)高校2年C組の生徒32名とその副担任、そしてバスガイドと運転手を乗せたバスが山奥のトンネルの中に姿を消した。  薄暗いトンネル内を走行中、突然生徒達は急ブレーキをかけられたような衝撃に襲われた。 「うわっ!?」 「きゃあっ!?」  車内に男女問わずの悲鳴が交差し、思わぬ事態に慌てふためく生徒達。 「な、なんだ事故ったか!?」 「ぶつかったような音はなかったわよ!」 「なんだよ、何も見えねえよっ」  車内は足元を照らすだけの小さなライトが点いているのみで、まるで上映が始まる寸前の映画館のような薄暗さだった。
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