闇に浮かぶ箱

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「おいお前達、静かにしろ」  クラスの副担任である淀谷 勝(よどや まさる)は生徒達に一言注意すると、側にいた運転手に尋ねた。 「危ないじゃないですか。どうしたと言うんです?」 「はあ、それが……目の前が突然真っ暗になりまして、それに驚いて思わず急ブレーキをかけた次第でして……」 「真っ暗?」  前方の窓の外に目をやると、確かにヘッドライトを点けているにも関わらず、辺りは完全な暗闇に包まれていた。  先程までトンネルの天井で等間隔に光っていたオレンジ色の照明も今は消失している。 「恐らくは停電か、電気系統の故障かと思いますが……」 「それにしても暗過ぎる。他の車の明かりすら見えないのはおかしい」  淀谷の言う通り、バスの前後には他のクラスのバスが走っていた筈なのだが、それが放つライトやランプの光さえ見当たらなかった。
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