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怖くなった飛鳥は、
「誰だ! どこにいるんだ!」
と、翼を広げて、威嚇するように羽ばたかせた。
「やめろ! まだ成長したばかりの羽なんだぞ。傷ついたらどうするんだ」
その声が言った。
「お前、僕のこと知ってるのか?」
「ああ、もちろん知っているとも。お前はこの夏生まれて、やっと飛ぶことを憶えたばかりだ。自由に飛べるようになったお前は、調子に乗って遠くまで行ってしまった。ところが帰ってみると、そこには親がいない。そう、独りぼっちになってしまったんだよ」
その声は、飛鳥が飛び立とうとするのを阻止するかのように言った。
「寂しいんだろう。泣きたいんだろう。しかしお前は、孤独に耐えなければいけないんだ。分かってるのか」
と、一気にまくし立てたのだった。
「どうして独りでいなければいけないの? お母さんに会いたいよ。お父さんに会いたいよ。それに、友達だっていたっていいじゃないか」
梢から見た自然の中にいる動物たちは、家族連れだったり、仲間たちと群れを成していたり、夫婦で仲良くじゃれあったりしている光景ばかりだった。
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