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「芹、あんた大丈夫?」
「大丈夫じゃない。
ちゃんと薬飲んだのにぃー。」
「頭痛、治まらないの?」
「収まるどころか悪化してるよ。しかも凄く不規則な頭痛でね、平気な時は痛みのいの字もないのに痛いときはガンガン殴られてるみたいに痛いの。
もおやだぁー」
「よしよし。昼から暫く保健室行ってなよ。無理して長引かすより、潔く休んでさっさと治した方がいいよ」
「うー。
――そうする。」
「ん。ついていこうか?」
「ううん。ありがとう、大丈夫だよ。
じゃあ、行ってきます」
実のところ、頭痛の原因は芹が昨晩から無意識で展開している結界にある。
力を意識したこともない芹にとって、本能的に結界を維持し続けるのは体力の浪費でしかない。その上、現在その結界は怪しい陰どもに破壊を目論まれており、恐らくは攻撃されているのだ。
勿論、自覚のない彼女にとっては不可解な体調不良でしかない。
保健室のベッドに横になると、芹はすぐにまどろみの世界へ落ちていった。
「数は――50と言うところか」
「低脳なだけにやることは単純ですが。よくまぁこれだけ集めたものです」
「いくら束になろうと、所詮は低級な妖。しかし、それでもこの数からの一斉攻撃を受けてせいぜい傷が少し入るだけとは。
未完成ながら流石だな」
「本人には大分負担のようですが」
「力を自覚して意識的に制御しているわけではないからな。致し方あるまい」
「しかし、どちらもいつまで続くか
」
「妖のほうはともあれ、結界は、蜜乃餌次第ですね」
「だろうな。私としては3日は持てば見事と言うところだが、いつまでも結界を張られるとこちらとしても動き様がないからな。
早々と破ってくれても問題はない」
力を持つもの、力を狙うもの、傍観するもの三者はそれぞれの事情と思いをかかえていた。
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