1281人が本棚に入れています
本棚に追加
その頃、保健室では――
「――よく寝た。
んー、もう放課後か。あ、頭痛治ってる。よかった」
体を起こし立ち上がるとからだ全体に少しの違和感を感じるものの、元気が出た、と上機嫌で保健室を後にする芹。
「あ、猫ちゃんだ!」
窓から猫を見つけると猫を追って裏庭へ駆け出してしまった。
裏庭経由の道のりは教室へ戻るには遠回り。この選択がこれから数分の後に保健室へとやって来る陰たちとの対面に大いに影響することになる。
「ここです」
「探せ!」
会長に命じられカーテンをひとつひとつかけ放つ生徒たち。芹の姿が無いのを確認するとその身を震わせる。
「おのれ蜜乃餌、なんと小賢しい!
――時間がないのだ。
探せ!探せ!蜜乃餌を探し出せ!」
生徒たちが一斉に校舎に散らばると会長はひとり動かない美保を振り返る。
「何をしている!貴様も探せ!」
「――――」
答えない美保に、会長はチッと舌打ちをすると瞳に纏うもやを濃く、大きくしていく。
再度蜜乃餌の捜索を命じ美保がはい、と頷く頃には黒いもやは会長の体全体に広がっていた。
最初のコメントを投稿しよう!