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「あー、このサイズ、温もり、毛並み。癒されるー」
ニャー。
裏庭では1人と1匹が戯れていた。
まぁ、実際は芹が一方的に猫とじゃれているのだが。
ニャー。
「ん?どうしたの猫ちゃん」
先程からやたらとおとなしく抱かれていた黒猫は芹の腕のなかで突然世話しなく鳴き出す。
「お腹すいたの?それとも――」
「芹!」
芹の言葉が最後まで紡がれる前に飛び込んできた声は大好きなな彼女のもの。
「美保!どうしたの?そんなに慌てて」
「――芹。
あのね、時間がないの。
だから、だからね――」
「美保?」
芹はいつもと違う美保の様子に心配の表情を浮かべる。そして、それとは反対に美保は迷いのない漆黒に染まった瞳を芹に乱暴に投げつける。
「大人しく食べられて?」
「え?」
親友の口から突然発せられた言葉に唖然としていると、ざっと校舎から姿を表せた生徒とたちの姿。
芹と猫を囲むようにして次々集まる人、人、人。
芹が状況を把握しようとした矢先、
「見つけたよ!」
新たに割り込んできた声。
「会長?」
芹はその姿を見て目を見開くことになる。
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