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「断る、だと?」
「はい。
花嫁って、結婚するってことでしょ。私は16になったばかりだし、青さんのこと名前しか知らないし。それに、色々考えてみたんですが、正直よく意味がわかりません!」
「――――っははははは!」
「え、あの」
突然笑いだした青に動揺する少女。
くく、本に面白い女だ。
てっきり頭が弱いのかとも思ったが、本人としては冷静に考えた上での対応だったのか。
「お前、名はなんという」
「――芹です。
蜜乃餌 芹(ミツノエ セリ)。」
「そうか、ならば残念ながらお前に拒否権はない。」
「は?
どういう――」
「我が龍鬼家は代々、蜜乃餌との取り決めにより16を迎えた花嫁足るものを嫁とってきた。
今宵こちらに迎えるのは間違いなく、蜜乃餌 芹。お前だ。」
「余計訳分かんない、です。
そんなの――」
それに、と青は芹の言葉を遮ると先ほどまで笑っていた目を鋭く細める
。
「それに、これは掟であると同時に契約でもある。私がいく何年もの間お前を探して待っていたと思っているのだ。
もし違えるならばそれ相応のものを支払ってもらはなければならない。」
頭に添えられていた手は静かに芹の肩に下ろされる。
「それ相応の、もの?」
「そうだな、少なくとも蜜乃餌に貸し与えた我が一族の妖の力は返してもらうことになる。
ただ、そうなればお前の命は保証できん」
「妖の、力?命の保証?
一体何を言って――
ッ、青さん、瞳(メ)が――――」
「ん、あぁ。紅眼(コウガン)か?
言ったろう、我が一族の妖の力と。
私は龍鬼 青。
鬼の血を引く妖だ」
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