最後の時

2/4
前へ
/11ページ
次へ
死を予約してからもう3年になる。予約した時、ここまで待つことになるとは、想像もしていなかった。 多くの者が死を望む世の中。感情を殺し、ストレスに押し潰されそうになりながら、社会の中で生きる。人間は動物であることを忘れているのではないかと老人は思った。 この老人は妻を3年前に亡くした。老人にとって妻は、この世の全てだった。その全てを失った時から、 世界から色が消えたように、老人の人生は、世界は、虚しいものに変わった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加