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「ふぅ、荷物はこれくらいでいいかな・・・?」
段ボールに詰め込んだものを確認して封をする、大きく開けた窓からはローレヌの街の空気が吹き込んでくる。私はミシェル、みんなからは「ミカ」と呼ばれている。とはいってもミシェルをフェリシア語で読むか、母の故郷、フィラード語で読むかの違いである。
というのはおいておこう、今日は引っ越しの荷物をまとめに来た。明日から私は王宮仕えになる。この家に帰ってくることも少なくなる、だけど、必要最低限のものは持っていくけどそれ以外はおいていく。私たちは貧乏だったけど、仲は良かった。だから、毎日が楽しかった。その母との思い出が・・・無くならないように。
ピンポーン
「はーい!ちょっと待っててください!」
急いで服装を整えてドアを開ける。
「はーい、どちら様で・・・!??!?!?!?」
目の前に現れたのは真っ黒なスーツに身を包み、真っ黒な手袋をし、真っ黒な靴を履いている、髪の毛、瞳まで黒というまるで不審者のような全身真っ黒人間。・・・・・不審者ですか??
「あ、失礼。僕はネルト・クルーズです。政府で王宮に関する仕事をしています。」
「・・・えっと・・・何か・・・??」
「はい、今日はあなたを迎えに来ました・・・ミシェル様」
「は?なんですか?ネルト・・・さんでしたっけ?私よりも絶対に身分が良くてお金もありそうないかにもお坊ちゃまって人がなぜこんな貧乏な明日から王宮仕えをする様な平民に何の理由があって「様」などとつけるんですか?」
さっきからよくわからない、急に王宮に関する仕事をするお偉いさんが表れてこんな平民の私を「様」づけするなんて・・・
「様づけするのは当たり前でしょう。あなたは・・・あなた様は、正式な王位継承者なのですから」
「はぁぁぁああああああああああああああ!?!!?!!?!?!?!?!?!?!」
ローレヌの街に大きな声が響いた。
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