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少女は跳躍しました。高く、高く、跳びました。そして、体重と重力を存分に乗せて、少年の脳天から股までを一息に切りました。
少年の頭に、赤い線が浮かんだかと思うと、みるみる広がり、きれいな赤い液体が飛び出しました。
少年は、二つに割れ、それぞれ、汚い音を立て、倒れました。
息一つ乱していない少女は、何かに魅入られたかのように、うっとりとして、アップルちゃんを見つめ続けます。
「やっぱり、”人を切るのが一番いいわ”。でもほんと、この子すごい。なんでも、良く切れちゃう」
少女は、手についた返り血をベチャリと舐めて、アップルちゃんに話し掛けました。
「ね、アップルちゃん。もっと、もっと、切りたいわよね? もっともっと、食べたいわよね?」
少女はアップルちゃんに語り続けます。
赤い液体で覆われている、アップルちゃんは、赤く赤く、テラテラとテラテラと輝いていました。
まるで、本物の良く熟れたアップルのように……。
おしまい
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