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食事の後、少女と少年は、他愛ないおしゃべりをしました。
少年の街の事、少年の家族の事、少年のペットの事、少年の友達の事……。
話題は、尽きることなく、少女と少年は笑い、フザケ合い、楽しくおしゃべりを続けました。
いつしか、少年は、少女に恋をしました。
少年にとって、こんなに自分に良くしてくれる女の子は初めてだったのです。
それに、少女があまりにもうれしそうにしてくれるので、もしかしてこの少女も、僕の事が……、なんておもったりもしました。
話しているうちに、少々日が落ちてきました。少年は、帰りたいな、と思いました。そして、ふと、あることに気がつきました。
「ねぇ、きみの家族は、いつ帰ってくるの? 僕、そろそろ帰らなくちゃ。できれば、帰り道を教えてもらいたんだけど」
少女は言いました。
「あのね、あのね、私、楽しみは最後にとっておくの。そのほうが素敵だと思わない?」
少年は、アレ? と思いました。質問と答えがかみ合いません。
「ねぇ、きみ、家族は?」
「いないよ? ここにいるのは、わたしとアップルちゃんだけ」
やってしまった、と少年は思いました。もしかしたら、少女の傷をえぐってしまったのかもしれないのです。
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