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アップルちゃんとは何かは、それどころではなくて、気が回りませんでした。
「ご、ごめん。僕、知らなくて」
ふと、少年が壁を見ると、そこにはこの辺の地図が貼ってありました。ここから南に行けば川にぶつかり、そこから家に帰れそうです。
「……」
ニッコリと微笑みながら、少女は黙っています。少年はいたたまれなくなり、立ちがりました。
「今度、絶対また来るから、今日は、じゃあね」
少年は逃げるように立ち去ろうとしました。
「っ!」
しかし、片腕を少女にしっかりとつかまれ、グイっと引き寄せられてしまいました。
少年は、少し気味が悪くなってきました。
少女は、アップルちゃんをゆっくりと、引き抜きました。
「あのね、この子、すごいの」
少年は、体の温度が下がっていくのを感じました。そのくせ、汗は噴き出してくるのです。
「木も岩も肉も骨もね」
ゴクン、と少年は自分が生唾を飲み込む音を聞きました。
「小鳥さんもウサギさんも狐さんも熊さんも、それから……」
少女は、アップルちゃんに軽くキスをした後、ゆっくりとその刀身を舐めました。
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