其之壱

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「総司、参るぞ」 「はい、先生」 京に来てしばらく経った。 会津の御預かりになったって聞いたけれど、私には難しい話はわからないや。 だって私は近藤先生の言うことを聞いていればいいのだもの。 私には近藤先生が全て。 だから殿内さんを殺すって言われたら、私は従う。 私の心の奥の、ずっと底が、いやだって、殺したくないって、叫んでいたとしても。 私個人の考えなんて必要無いんだ。…ううん、持っていけないんだ。 私、いや、俺は近藤先生の刀になろう。先生の意志のみで動く、自分の意志を持たない先生の自在な刀に。 これから一緒に殿内さん、…殿内を殺しに行く先生の背中にそう誓った、その時だった。 「近藤さんに、沖田さん?…このような夜更けに、どちらへ?」
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