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しりとり。
その日は珍しく仕事も早く終わり、雅季さんの発案で久しぶりに5人で飲みに来ていた。
そして今会計。
今日は5人合計の金額を予想し、1番遠い金額を予想した人が清算を引き受けることに。
しかし、今日の店は美味しかった分、かなり値もお高いらしいので、下2人で支払うことになった。
そして結果。
「じゃあ章ちゃんとカズ、よろしくねー!ご馳走さまっ」
「いやー、美味かったよここ。ご馳走さま。」
「ありがとうね。お疲れ~」
「「…また明日~」」
はぁ…っと章ちゃんと同時にため息がこぼれ、もらった伝票にめをやる。
…章ちゃんと割り勘でもきついけど?
もーっと、テーブルに伏せて落ち込む俺に、章ちゃんははっと短く笑う。
「…こうなったら章ちゃんとやけ酒してやるっ」
「いいけど?じゃーなに頼む?」
章ちゃんは優しく笑ながらメニューを俺に渡してくれた。
ほんと、そういうとこかっこいいよね。章ちゃん。
それからかなり酒を交えながら2人話して話して笑って。
そして俺は結構酔ってしまったらしく、頭がポワンとして。目の前がゆれている感じに見えた。
「カズ飲み過ぎた?もうでよっか?」
「やーだっ!せっかく章ちゃんと2人なのに。も ったいないよ~」
最初は向かい合わせで座っていた席順も、今はお隣。
俺は章ちゃんにぴったりくっついて、頭を章ちゃんの肩に預けていた。
だから章ちゃんが俺の言葉で顔を真っ赤にしてるなんて気づかなかったの。
「でもカズもう眠たくない?目があいてないよ?」
「眠たくない!もー章ちゃん、そんなに俺を帰したいわけ?じゃあ帰るよっ!ばかっ」
完全に酔ってる。
だって素面ならこんなに絡まねーし。俺。涙だって零れたりしないよ?普通はね。
「章ちゃんなんか嫌いー!ぐすっ…ふぇ…」
そしたら章ちゃんは優しく頭を撫でてくれるの。
酔った俺なんか適当にスルーしてくれりゃあいいのに。
それに涙まで指で掬ってくれて、俺の顔を覗き込むとにこりと笑顔を見せてくれる。
「じゃあ…しりとりでもしよう?カズが寝ちゃわないように」
「寝ちゃわない!」
「はいはい。じゃあ俺からね?じゃあ…」
章ちゃんが少し考えて、今度は俺のあごを掴んで顔をあげさせる。
「…愛してるよ」
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